晴れた日のねどこ

答えの出ないことばかり考えている

笑いっぱなしの2時間10分〜信長の野暮(2023)〜

アナログスイッチ信長の野暮_舞台セット

 

 

 



信長の野暮は2013年、2018年に上演され、今回が3回目の公演となる舞台です。
本能寺で自刃直前の信長が、冴えない芸人・田中の部屋にタイムスリップ。その他の武将らも魂だけが現代にやってきて…!?というコメディ。


舞台のDVDは購入したら満足してしまい、見返すことがあまりないわたしですが、信長の野暮のDVDはときどき再生しています。重たい話は見る前に少し身構えてしまうけど、コメディだと手が出しやすいので良い。

わたしはspiさんが主演の2018年版を以前観ています。2023年も信長役はspiさんが続投。今回の公演は、2018年の千秋楽後、作・演出の佐藤慎哉さんがspiさんと「また一緒にやりましょう」と約束をして実現したそうです(詳しくはパンフレットに書かれています)


好きな作品の再再演なのでうれしい〜!しかも場所が吉祥寺という自分の好きな街での上演。肩の力を抜いて楽しむことができました。
自分にしてはめずらしく他担の友達を誘って観に行った舞台なので、街の風景と共に、より心に残りました。


 



あらすじ

明智光秀によって本能寺に追い詰められた織田信長
「これが最期」と覚悟を決めて目を閉じる。
が、ふと気がつくと冴えないワンルームでひとり
ゲームに明け暮れる田中の隣にタイムスリップしていた…!

偶然にも現代へと時空を超越してしまった戦国武将と、
彼らと共に生活することになった住人たち。
合わないのは時代のせい?個性のせい?
数多の混乱を面白おかしく描く、
空前絶後のシュチュエーションコメディ!

2013年、2018年と上演され好評を博し、
2023年5月アナログスイッチオリジナル企画として
バージョンアップして帰ってきます!



▼イケメン図鑑のゲネプロ画像付きのあらすじ

ikemen-zukan.com




感想

すごくおもしろかったー!
再演ってストーリーが同じだから、予定調和かもなーとちょっぴり思ってたんだけど(すみません)、新キャラがいたり伏線の張り方が丁寧になっていたりですごく楽しめました。「あれ、これさっき聞いたな!?」というワードが後で回収されていく小気味良さよ。

何がおもしろいかって、とにかくテンポがいいんですよね。セリフの掛け合いが耳に心地よい。
突如として明智光秀の魂が宿った太田と、その彼女のアンジャッシュ状態で進む会話も秀逸。
特に好きなのは森兄弟の「御意」「プレイとは」の唱和、何回見てもおもしろくて笑っちゃう。
最後のドタバタの勢いも好き。


たっぷり笑って最後少しだけほろりとさせるストーリーで、終演後はちょっと心が明るくなる舞台でした。元気になれる〜!暗いニュースも多い昨今だから、こういう思い切り笑える舞台っていいなと改めて思う。

何度か観劇するうちにそれぞれの役に感情移入して、自分の友達みたいな気分になりました。なのでそれぞれの感想を(あえて役名で)


田中

今回は俳優じゃなくて芸人の田中。ゲームしながら「光秀だと!?是非もなし」と口パクでニヤニヤするところが微笑ましくて、見てるこっちも笑ってしまう。掃除機をのぶちんにぶつけるところのやりとりも好き。
お笑いのコンビだとやっぱりツッコミなのかな。「お前がそれ言うのおかしいだろ」「お前の家臣それで死んでるぞ」とか、いろんなところで突っ込んでるしな。 


明智光秀・太田裕也

公演を重ねるにつれ、浮気がバレたときの演技が大きくなっていっておもしろかったー!ラストのドタバタのシーンでくるっと回転するところが好き。太田裕也の時は割とふにゃっとした今時の若者って感じで、光秀との違いも楽しかったです。


山口天衣(あい)

かわいい。クール系と思いきや突如信長の真似をし始めたり、駄洒落を言ったりするギャップが好き。特に好きなのは「でも私、細い方が好きやで」のセリフ。会社の後輩(クールビューティー)にため口でこんなこと言われたら、55歳のおじさんじゃなくてもドキッとしちゃう。好きです。


長谷川晴海

「ちょっとズレたところがある痛い子」感があって、隣の部屋を覗くというおかしな行動がしっくりくるのがすごい。浮気されちゃうのは多分感情の起伏が激しいからだな…!? ライトが当たってない時の演技(田中に肩を叩かれてビクッとするところ)も細やかで好きです。


橋本勇次

存在がおもしろいってすごい。「おうみ…?近江…滋賀の!」「天衣がぁ、芸人の俺の方がぁ、好きって言ったからー」とか、声の出し方で笑ってしまう。天衣ちゃんに追い出される時にシャイニングみたいになってるところとか、「あぁっ、靴…」って情けない声を出すところも好き。iPod shuffleをプレゼントされてるということは、天衣ちゃんとは結構長い付き合いだったのだろうか…


武田さやか・赤影馬の芯

「こんないい人いる!?何も誇るものがないのに堂々とできる人!」はずるい。馬の芯は真面目で仕事ができる子なんだろうなと感じる、結構すぐに現代に適応してるし。徹を思い切り振り払うところが好き。多分ウォシュレットの水圧は最強にしてある。


武田信介

徹との絡みがおもしろくて好きー!椅子を下げるタイミングが毎回絶妙。こんな抑圧された環境で捻くれずに育っててえらいね…。今回の再再演だとタイムマシンを作った経緯も明らかになってすっきり。


藤沢徹

存在がおもしろいってすごい(二回目)。その場にいるだけで「何か面白いことをしてくれそう」という期待感がある。余談ですが、さやかとの「持ってる」の仕草は、2018年から仲間内で流行って会話内でしばしば登場します。汎用性が高い。


森兄弟

いやーーーー、かわいい。三人の息がぴったりで、見ててにこにこしちゃう。力丸、ハートの便箋の折り方どこで覚えたのまじで。懐かしくてめちゃくちゃ笑ってしまった、高校生じゃん!!蘭丸と力丸の「ねーー!」にキレる坊丸が苦労人という感じで味わい深い。


武田夫妻

「娘さんと結婚…」「だめだ」の切れ味の良さよ。徹のパチプロ発言に二人で顔を見合わせるところの表情と間が絶妙で毎回笑ってた。好き。
この話って、お父さんが高圧的で唯一嫌なキャラとして出てくるんだけど、ラストのタイムスリップの可愛らしさと元に戻ってからの様子でその印象が変わるのが良かった…。そのおかげで読後感(?)がすっきりしてる。


織田信長

初めの堂々とした武士としての信長、語尾に「ござる」が出たりして現代になかなか適応できない信長、野望を見失い堕落した信長。同じ人物なのに雰囲気が違う姿が見られるので一粒で3回おいしい

武士としての信長の好きなところは、タイムスリップしてすぐの部屋の中で(この面妖なものはなんだ…?)というように短刀の柄で扇風機をちょんとつつくところ。戦国時代で一番有名でしょと言われて照れるところ。「ニッ…ポン」の発音。ニヤリと笑って「チャリで行くぞ」と両手を広げるところ。照明が当たってないシーンでシルエットで見えた横顔のラインの美しさ。

なかなか適応できない信長で好きなところは、田中と言い争いしてる時にしてる背伸び。森兄弟が田中に畏れながら申し上げます!してる時の「そうだそうだ!」と言わんばかりの変顔。バイト合格のメチャクチャな喜びのダンス。


堕落した信長で好きなところは…あるかな…。感じが悪いからなー!
自堕落に過ごす信長の演技を見るたびに心がひゅっとしてしまう。躊躇いなく相手に苛立ちをぶつける演技がうますぎる…嘘くささがなくて生々しいから怖いんだよね。
序盤の姿との落差が激しい堕落した信長は、史実の冷徹な姿から来ているのかなー。
わたしはspiさんのクズの演技が(怖いけど)好きなので、毎回感じ悪い!!と思いながら観てました。彼が演じるクズ要素がある役って、本気で憎めるからすごいなと思う。


というかspiさんてクズの役が多いな。ニックは浮気してるのになぜか被害者ヅラしてるクズだし、オキソは自意識を拗らせためんどくさいクズだし、デイビーは差別主義者だし、ビル・サイクスとカーティスも世間から見たら多分クズだし…(だがビルとカーティスはある意味真っ直ぐなので、わたしの中ではあんまり憎むべきクズではない)


spiさんて闇属性の役を演じることが多いんだけど、光属性の役も見たいなー、止まれない12人の朝倉くんとか、H12の哲人くんみたいな、ふにゃっとした光属性の役…。Tシャツのサイズが3Lだからそういう役が来ないのか!?

 


閑話休題

信長のワードローブは徐々に増えていくんだけど、これは田中が買い与えたものなのかしら。途中からジャケット着たりしてるし、靴は多分サイズが田中とは違うし。
いきなり現れた様子がおかしいおっさんに服を買うあるいは貸与する田中っていい奴だな…。
余談ですが、現代に適応した信長が着るハーフパンツに点々と汚れがついてるのが、「わ、わかるーー!」と思ってしまった。くたびれ加減がリアルだった。衣装さん天才だな…。



舞台美術など

前回もおしゃれだったけど、今回はよりブラッシュアップされてるなーと感じました。
田中と太田の部屋の雰囲気の違いが出てるので見てて楽しい。田中の部屋は水道修理のマグネットが玄関にたくさん貼り付けられてたり、捨ててないゴミ袋や傘があって雑然としてる。

信長の野暮_雑然とした田中の部屋

雑然とした田中の部屋。ジャンプの表紙にアナログスイッチが!芸が細かい!


太田はカメラ好きのサブカル男子という感じ。ダーツや間接照明、空気清浄機、見せる収納の靴、観葉植物とか。くまのぬいぐるみは女絡みの持ち物っぽくて、部屋を見るだけでどんな人物が住んでるか想像できるのがすごい。

信長の野暮_太田のサブカルおしゃれ部屋

サブカルおしゃれボーイ太田の部屋


屋根にはネズミの家族やネコチャンがいたり、中央の瓦の中にASの文字があったり、謎に「ユカリ」さんを推してたり(信介の部屋と太田の部屋の本棚) して、見ていて楽しかったです。

信長の野暮_謎の文字

ユカリ、紫、ゆかり

信長の野暮_謎の文字

ここにもユカリの文字が…!

 

グッズもおしゃれ

信長の野暮_グッズ

グッズの一部。デザインが秀逸!

あと、特筆すべきはグッズのデザインがめちゃくちゃおしゃれなところ!パンフやDMの蛍光インクが映えてる。アクスタあるのもうれしいー!オタクはアクスタ大好きだもんね。

 

これは早速アクスタで遊んだ図

大歓楽街・吉祥寺を満喫できました。他にも寿司食べたり焼き鳥食べたりした。

 

 




何も考えずに笑って観られる楽しい舞台「信長の野暮」、

東京公演は終わりましたが、5/26〜5/28まで大阪公演もあります。チケット代は驚きの5,000円!

配信も6月3日16時まで何度でも観られて4,500円と福利厚生が行き届いてます。おすすめ!


 
 
楽しかったので1年ぶりにブログ書いた。
今気づいたけどタイトルがイケメン図鑑と被ってるな…初出はわたしの方が先なので目をつぶってほしい。
ミュージカル「手紙」の時みたいにまとめ記事もUPしてます。

 

こっちはtogetterまとめ。

主にアナログスイッチとキャストのツイートをまとめてます。まだ色々抜け漏れがあるのでどうにかしたい。
 
 
 
 
それではみなさま、良き推し事ライフを!
 
 
 
 
 
 
▼spiさん▼

 

 
 

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