晴れた日のねどこ

答えの出ないことばかり考えている

他者に与えられた役割から脱却し、皆が新しい自分を掴み取る話〜シュレック・ザ・ミュージカル

 

 

2022年のトライアウト公演を経て、2023年7月、シュレック・ザ・ミュージカル フルバージョンが上演されました。

映画「シュレック」を元に2008年にブロードウェイでミュージカル化された作品の日本版。全員オーディションで選ばれただけあって、めちゃくちゃ歌がうまい…!

特に今回のフルバージョンは追加されたナンバーもあり、歌唱力で圧倒されるシーンが多々ありました。


本作は4歳〜18歳以下の子供を各回250名、無料招待をしている*1ので、ファミリーミュージカルかと思われがちですが、大人でも十二分に楽しめる素敵な作品でした。

というか、もしかしたら大人の方がグッとくるかもしれない。すっかり擦れてしまった大人は、この舞台のピュアさに触れた時に胸打たれるんじゃないかな…。子どもとは別の部分で刺さる気がする。

全公演が終わったのをさみしく思いつつ、記録として感想をブログに残しておきます。




【あらすじ】

物語の主人公は、人里離れた森の沼のほとりに住む、怪物・シュレック
彼にまつわる恐ろしい伝説とは裏腹に、気ままな生活を送っていました。
そんなある日、領主・ファークアード卿によって国を追放されたおとぎ話の住人たちが、
シュレックの住む森に押し寄せてきます。
静かな生活を取り戻したいシュレックは、追放令を取り消すよう交渉。
真の王になるためにプリンセスとの結婚を目論んでいたファークアード卿は、
「自分の代わりにドラゴンと戦って、囚われの姫・フィオナを救い出せ」という交換条件を出します。
仕方なくシュレックは、お調子者の喋るロバ・ドンキーを道連れに、
沼を取り戻すため冒険の旅に出たのですが・・
公式サイトより



ストーリーはとてもシンプルでわかりやすいです。
だけど、読み解いていくとあれ?と思うところも多い。ひとつずつ見ていきたいと思います。

 

 

与らえれた役割、あるいは呪いについて

オーガのしきたりによって、シュレックは7歳で独り立ちをさせられます。
餞の言葉として両親から贈られたのは、君はキモいし人生は辛い、世界は美しいが夢は叶わないし友達もできない、という言葉でした。な、なんという呪い…!
オーガはこういうものだから世界に期待をするな、という呪いをかけられ、シュレックは「オーガらしく」生きることを選びます。

フィオナは7歳で塔に幽閉されます。理由は「何百年も前からたくさんのお姫様がそうされてきたから」。塔の中で繰り返し読んだ本には、王子様に助けられるお姫様のお話が。
フィオナはお姫様は素敵な王子様に助けられるものだと信じ、塔で暮らします。

デュロックの領主ファークアードは、「完璧な王」としてデュロックを治めるべく、自分と結婚をしてくれるお姫様を求めます。

おとぎ話の住人たちは、自分が描かれた物語に不満を持ちつつも、そこから逸脱した行為をすることなく暮らしています。

 


シュレックはひねくれ者ではない

ブラックユーモアが散りばめられた映画の印象から、シュレックはひねくれ者だと思っていました。が、ミュージカルを観て、シュレックって実はすごくピュアで真っ直ぐなのでは?と感じました。

シュレックは、オーガだからという理由で松明で尻を焼かれた過去があるのですが、それにも関わらず、「人間が嫌い」だとは一言も言っていない。

M2『Story Of My Life / 僕の人生』でシュレックは、きれいな世界はいらない、くだらないと吐き捨てています。ですが、その世界を「蓋を閉めてどこかにしまっとけ」と言うんですよね。あれ、これ、捨てておけ、じゃないんだ!と歌詞を聞いた時にちょっとびっくりしました。


そして1幕の最後、ドンキーに尋ねられた時、はじめは拒否するものの、自分の夢を語れる素直さがある(M12『Who I'd Be / 誰かになれたら』)。しかも、ヒーローになりたい、ヴァイキングもいいな、詩人もいい、と次々と挙げられる。これ、世界を憎んでいたら出てこない願望ですよね。

つまり、普段「きれいな世界」を遠ざけてはいるものの、あきらめてはいない。


あれ、めちゃくちゃピュアでいいやつじゃんシュレック…!


見た目や種族で差別をされたら、もっと自暴自棄になるんじゃないかなあ。でもシュレックは外に攻撃性を発揮するんじゃなく、内側に向かってるんですよね。




「どうしてオーガの力を使って(ファークアードから)沼を取り返さなかったのか」

ドンキーがシュレックに尋ねるシーンがあります。
シュレックは自分のことを玉ねぎだと例えます。オーガは皆が思うように単純ではない、玉ねぎのように積み重なっている層、レイヤーがある。

シュレックの場合、「きれいな世界」への憧れ、それと同時に抱えている諦念などが層なんだろうな。シュレックはオーガには層があると言いましたが、これって他の人たちにも当てはまりますよね。人間てそんなに単純じゃないし、色々な側面や層がある。
この例えって、オーガも人間と同じだと語っているようにも思えます。



決めつけられたくないと思いながらも、他人のことは決めつけがちなわたしたち

「お姫様はいつもネズミと遊んでるのかい?」
「バイキンだらけのお姫様ってあんまり聞かないから」
これは2幕のはじめのほうのシュレックのフィオナへの問いかけです。

シュレックは、「オーガだからこう」と決めつけられることを嫌がっています。が、それにも関わらず、フィオナのことは「お姫様なのに」と決めつけてる。

それに対し、よく知らないのに決めつけるのは良くないと返すフィオナですが、彼女も「運命の人は◯◯」だという固定観念にとらわれています。



思い込みが激しいフィオナ

7歳で塔へ幽閉されたフィオナ。
シュレックが助けに行くまで続いた塔での生活は、なんと23年。

フィオナはひとり塔の中で、繰り返し童話を読んで過ごします。閉じ込められて一ヶ月目も、2年目も、23年目も。そこに書いているのは自分と同じようなお姫様の物語。そのどれもが「運命の王子様」と出会い、幸せに暮らします。


本の影響なのか、フィオナってすごく「こうあるべき」って考え方が強い。

「お姫様は勇敢な騎士様に助けられる」べきだし、「騎士様は名馬を従えている」ものだし、「お姫様の運命の人は、自分を助けてくれた騎士様」で、「運命の二人は初めてのキスを交わす」ものだと信じてる。

自分を救った騎士との出会いのシーンは、ロマンチックな時間になるものだと思っているので、その気がないシュレックにもそれを強要しようとする。
 


俺、俺、俺。よく似た登場人物たち

他者との接触を避け、沼に住むオーガ(怪物)のシュレック
7歳から20年間、ドラゴンが守る塔で、ひとり孤独に暮らしていたフィオナ姫。
「完璧な王」になるために、姫を娶ろうとするファークアード卿。

立場が違うこの3人ですが、実は結構似ている。
特にフィオナとファークアード。

フィオナは運命の相手と「真実の愛のキス」を交わすことにこだわっています。
王子様に助けてもらえると信じていたフィオナでしたが、自分を救い出したのがオーガのシュレックだと知り、落胆します。そして、彼にドラゴン討伐を命じたのがファークアード卿だと教えられ、彼との結婚を望みます。

それは自分にかけられた魔女の呪いを解くため。

彼女は夜になると、魔女にかけられた呪いのせいで「不恰好で醜い」姿になってしまいます。それを解くことができるのは、運命の相手との真実の愛のキスだけ。


ファークアード卿は領主から「完璧な王」になるため、姫であるフィオナとの結婚を望みます。(ところで、なんで姫と結婚したら王になれるんだろう。養子とかそういうこと…?)
シュレックに指摘されているように、ファークアードは王になるためだけに結婚をしたいと思っている。

フィオナとファークアードって似てるんですよね。結婚が、自分の願望を叶えるための手段になっている。つまり相手をひとりの人間として扱っていない。
 
フィオナのこの傾向は歌詞の中でも顕著で、M6『I Know It’s Today / 今日こそだと信じて』には「お金持ちの王子様に見染められる」という歌詞が。 M11『This Is How A Dream Comes True / こうして夢は叶うの』で、「お姫様は王子様をゲットする」という一節があります。

これを聞いた時、わーすごい、人間をアイテム扱いしてる!とちょっとびっくりしました。


そしてシュレック
彼は物語の終盤、ドンキーに言われます。
「出たよ、俺俺俺!」「君は自分の気持ちが怖いんだ」

オーガという種族やその見た目のせいで判断されることが多かったシュレックは、自分の気持ちを表に出すのが苦手で、そのせいで一人でいることを選んで生きてきました。
近づいてくる相手にはきつく当たって、自分が傷つく前に遠ざけようとする。


シュレック、フィオナ、ファークアード。
三人とも独りよがりで、ある一面では自分のことしか考えていない。



わたしたちも「当たり前」に囚われている

人間をアイテム扱いしてる!とびっくりしたけど、フィオナってそんな嫌な感じはしないんですよね、ファークアードと違って。

自分を助けたのがオーガだと知り、落胆した次の日は、シュレックとドンキーに対して、昨日の失礼な態度を謝りたいと言っているし。心根の優しい女性なんだと思います。

なんでフィオナに対して不快感を抱かないのか考えたんですが、登場人物と同じく、わたしたちも「絵本で読んだ当たり前」に囚われているからなのでは、と思いました。


お姫様が閉じ込められていること、騎士や王子に助けられること、キスで眠りから覚めることなどなど。童話のお約束として、フィオナと同じように、疑問を持たずに受け入れています。

でも実際はこのお約束って結構謎じゃないですか? フィオナの幽閉の理由なんてフワッとしてるし、例えば眠れる森の美女なんかだと、本人の同意なしにキスするなんて変態だし…。
改めて考えると、「当たり前」って首を傾げてしまうものも多い。
 


他者と違うのは恥ずべきことではない

世の中のことに疑問を抱かず、「そういうもの」として処理してしまうと、反骨心や心のみずみずしさを失っていくのかも…と思ったのは、おとぎ話の住人たちの変化を見たからというのも大きいかもしれません。

物語冒頭、ファークアードに追放された住人は、「自分達には立ち向かう力がない」「大きくて怖い君ならできる」とシュレックに助けを求めます。


このおとぎ話の住人たちは、とにかく受け身。

この後、シュレックが沼を取り戻したため、今度は埋立地に追放されるのですが、その時もピノキオは「あのオーガが答えじゃなかったのかも」「これが全部おさまるまで、落ちぶれたまま耐えるしかない、おとぎ話のキャラってそういうもんだろう」と一度は自分達の境遇を受け入れようとします。


ピノキオはジンジャーブレッドマンの鼓舞で、自分が人間の男の子ではなく木でできた人形だと認めます。そして「自分達は人間から見たら変人かもしれないが、この個性を武器に生きていく」と誓い、ファークーアードの城に乗り込みます。



絵本も変わるべき時

このミュージカルでわたしが一番グッときたのは、母熊のセリフです。

ファークアードが治めるデュロックの民に向けて、ピノキオが「お前たちのリーダーは小人だ!」と言った後、母熊は「もちろん小人だってなんの問題もないのよ」というシーンがあります。

ピノキオのセリフだけだと、差別の再生産にしかならないんですよね。ファークアードがおとぎ話の住人を追放したのと同じ、「変人だから糾弾する」と同じ構造になってしまう。

ですが、そこに母熊のセリフが入ることで、「ファークアードも自分達と変わらない」「同じような一人の『変人』だ」という意味になる。
今まで「与えられた物語の住人」として生きてきた彼らが、自分の意志を持って踏み出したこのシーンは、いつもグッときました。



そして踏み出したのはシュレックもです。
結婚式を中止させるべく乗り込んだ彼は、「お望みのハンサムな王子じゃない、プリンセスとオーガじゃ釣り合わない」と言いながらも「でも絵本も変わるべきだ」と続けます。
今まで「オーガだから」と壁を作り閉じこもっていたシュレックが、美しい世界を受け入れるこのシーンも落涙しました。

 
 
 

他者に与えられた役割から脱却して、皆が新しい自分を掴み取る話

シュレック・ザ・ミュージカル カーテンコール写真

カーテンコールは撮影OK
この話は、登場人物それぞれが自分の意志を持ち、他者から与えられた役割(あるいは呪い)から脱却し、新しい自分を掴み取る話だと思いました。
シュレックしかり、フィオナしかり。おとぎ話の住人たちもです。
だからこそ、カーテンコールでシュレックが「次はきみの番だ!」というセリフがまた泣けました…。いい話だな…
こういう直球でエンパワメントしてくれる話ってなかなかないので、ストーリーのピュアさに、結構べそべそ泣いてました。
トライアウト公演は中止もあったので、今回完走できたのもうれしかったです。
 
 
 

それぞれの感想

シュレック(spi)
マスクめちゃくちゃ大変そう…。一番印象的だったのは、手にはめたグローブの隙間から汗の滴が飛び散っていたところです。そ、そんなにもそこに汗をかくの!?と仰天しました。
暑いだけじゃなく、表情がほぼ見えないため大変だったらしいのですが、その大変さを感じさせないくらい、そこに自然にシュレックがいる演技だと感じました。

 

・フィオナ(福田えり)
助け出された事実に興奮するシーンがめちゃくちゃオタクっぽくて毎回笑ってました。なんか笑い方がグフグフしてて…笑
ちょっとクセがあるけど、素直で優しくユーモアがあるフィオナだったなと思います。福田さんじゃなかったら、フィオナにこんなに好感を持ってなかったかも。

 
・ドンキー(吉田純也)
実はキャラクターの中でドンキーが一番好きかもしれない。ドラゴンに対して「ボディタッチが多すぎるよ、まだそこまで許してない」とはっきりNOを伝えられるし、内側に籠るシュレックに対して、怯まず踏み込んで真っ直ぐ話ができるし…。この話の中で一番大人なんじゃないか!?
壁を作ろうとするシュレックと話すシーンで、お互いを友達として認識するところがすごく好きです。
ドンキー、なんで友達いなかったんだろうなー、こんなにいいロバなのに…喋るロバっていうのがダメだったんだろうか。
いろんなシーンで細やかに表情を変えて演技をしていたのと、カテコで尻尾をぶん回していたのが印象的でした。
 
・ファークアード卿(泉見洋平)
感じが悪いにも関わらず、コミカルで憎みきれないファークアード。膝立ちの演技に気を取られがちだけど、顔と指の演技が好きでした。なんか…いやらしいんですよね、表情とか、指の動きとかが!!
見てわかる通り、ファークアードって小人なんですけど、これって素直に笑っていいのかな…と初めはちょっと戸惑いました。実際に低身長のまま成長が止まる病気もあるわけだし。
なのですが、見ているうちに「低身長だから面白い」のではなく、コミカルな演技だから笑ってしまう、というように感じ方がシフトしました。泉見さんの演技があってこそなのだろうなと思います。
 
 
 

トライアウト公演で気になっていたこと

実はトライアウト公演で少し気になっていたのが、結婚式での神父の喋り方です。トライアウト公演では、日本語に不慣れな外国人のようなカタコトの喋り方だったんですよね。

 

フルバージョンではカタコトがちょっと変わったイントネーションに変更になっており、進化している…と思いました。
こういう小さいことでも、発信する側の姿勢が見えるものなんだなと思い、信頼感が高まりました。この作品に携わった人たちの違う舞台、また観てみたいなー。
 
 

 

 
その他
 

白ねずみちゃんたちかわいい。好きです。

 

母熊はドラゴンと兼役。

 

 

 

ドラゴン、前列で見るとすごい迫力だった。テーマパークに来たみたいな感覚。
ドラゴンの歌もいいんだよな〜!「プリンセスじゃない、美女じゃない、誰からも求められない」って真っ直ぐ歌えるのって「強さ」を感じる。

 

 

 

長くなりましたが感想はそんな感じです。

上演情報(動画、メディア記事)などのまとめはこちら↓

 

 
 
 
 




*1:文化庁子供文化芸術活動支援事業」対象作品になっているため

【まとめ】SHREK THE MUSICAL 『シュレック・ザ・ミュージカル』

シュレック・ザ・ミュージカル幕間写真

 

【あらすじ】
物語の主人公は、人里離れた森の沼のほとりに住む、怪物・シュレック
彼にまつわる恐ろしい伝説とは裏腹に、気ままな生活を送っていました。
そんなある日、領主・ファークアード卿によって国を追放されたおとぎ話の住人たちが、
シュレックの住む森に押し寄せてきます。

静かな生活を取り戻したいシュレックは、追放令を取り消すよう交渉。
真の王になるためにプリンセスとの結婚を目論んでいたファークアード卿は、
「自分の代わりにドラゴンと戦って、囚われの姫・フィオナを救い出せ」という交換条件を出します。
仕方なくシュレックは、お調子者の喋るロバ・ドンキーを道連れに、
沼を取り戻すため冒険の旅に出たのですが・・


【日程】2023年7月8日(土)~16(日)、7月22日(土)~7月30日(日) 
【会場】日本青年館ホール
【料金】全席指定/S席 10,800円、A席8,800円
【公式サイト】

https://www.shrek-musical.jp/index.html

 


【タイムテーブル】

シュレック・ザ・ミュージカル タイムテーブル

公式サイトより



【出演】

spi
福田えり
吉田純也
泉見 洋平
岡村 さやか
須藤 香菜
新里 宏太
佐々木 誠
鈴木 たけゆき
岩﨑 巧馬
清水 泰雄
深堀 景介
村上 貴亮
横田 剛基
中桐 聖弥

咲良
元榮 菜摘
寺町 有美子
澤田 真里愛
石田 彩夏
青山 瑠里
矢山 花
本木 麻由花
三浦 あかり

 

【動画】

舞台映像

 

初日の開幕前に行われた会見の様子


CM映像

 

 

【原作】ドリームワークスアニメーション『シュレック
ウィリアム・スタイグ『みにくいシュレック

【脚本・作詞】デヴィッド・リンゼイ=アベアー

【作曲】ジニーン・テソーリ
【翻訳・訳詞・音楽監督】小島 良太
【演出】岸本 功喜

【タップ振付】本間 憲一
【振付】中塚 皓平
【美術】松生 紘子
【照明】日下 靖順(ASG)
【音響】遠藤 宏志(アコルト)
【映像】O-beron inc.
【衣裳】永橋 康朗(はせがわ工房)
【ヘアメイク】小竹 珠代
【特殊造型】林屋 陽二
【歌唱指導】小島 良太
【稽古ピアノ】森本 夏生
【演出助手】坂本 聖子
【舞台監督】辻 泰平(DDR
【技術監督堀】 吉行(DDR
【音楽制作】カンパニーAZA
【制作】S-SIZE

【主催・企画・製作】フジテレビジョン、アークスインターナショナル、サンライズプロモーション東京

 

 

【メディア情報】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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それは『大丈夫』ではない 〜ファーストテイク朗読劇「ナイスコンプレックス」〜

ファーストテイク朗読劇_ナイスコンプレックス感想_ヘッダー

 

 

 

ファーストテイク朗読劇「ナイスコンプレックス」を観てきました。

これは2006年に実際に起きた事件と、脚本のキムラ真さんの半生を併せて作られた(6/3マチネ、カテコでのキャストの発言より)お話です。

キムラ真さん演出は「止まれない12人」「チャージマン研」を観たことがあるのですが、脚本をされている作品は初めて。

 

ファーストテイク朗読劇というのは

『「一発真剣勝負で、演劇と向き合う」がコンセプト。

上手く見せるに飽きた人にぴったりの偶然から生まれる新鮮劇。

余計な演出を一切排除し、役者が脚本から受けたインパクトをそのままお届けします。』

とのことだったので、観客としても前情報を入れない方が良いだろう…と思い、当日にのぞみました。

ファーストテイク朗読劇についてはまた後述します。

 

 

 

以下感想です。(ネタバレあり)

片親ながら立派に息子・健介を育て上げた母親と、演劇の道を志し邁進する健介。

劇団の仲間や恋人にも恵まれ、演劇のコンクールでグランプリも受賞。すべてが良い方向に動き出した頃、母親の認知症が発覚。

介護に追い詰められるも人に頼ることができず、周囲と摩擦を起こしてしまう健介。彼の変化に気づいた恋人の真紀さえも遠ざけてしまった健介が取った行動とは…

 

あらすじはこんな感じ。

 

推しが演じた主人公・健介はちょっとぶっきらぼうなところがある口数が少ない男でした。後日配信で別キャストの公演も観たのですが、もう少し明るい健介もいました。(同じ脚本なのにこうも解釈が違うのか…とびっくり。役者ってすごい…)

 

今までいろんな役を演じる推しを観てきたけど、こういう終始低めの発声でいつもちょっとだるそう…という切り口ってあんまりなかった気がします。

推しは186センチとかなり大柄なのですが、ビジュアルの時点で勝利が約束されている…と思いました。体格に恵まれた成人男性が見せるやさしさや隙、弱い部分って、見た目とのギャップでぐっと引き込まれる

 

 

 

冒頭で書いた通り、この話は2006年に実際に起こった事件が元になっています。

その事件というのは「京都伏見介護殺人事件

母親の介護のために離職し生活苦に陥った息子が、母親と無理心中をはかった事件です(母親は死亡、息子は一命を取り留めました)

Aは最後の親孝行にとその日の夜から車椅子の母親を連れて京都市内を観光し、2月1日早朝、家に帰りたがった母親に「もう生きられへんのやで。ここで終わりやで。」と言うと、母親は「そうか、あかんか。一緒やで。」と答えた。Aが「すまんな、すまんな。」と謝ると、母親は「こっち来い、わしの子や。わしがやったる。」と言った。この言葉を聞いて、Aは殺害を決意した。
wikipediaより引用。なお、劇中では居住地が北海道に変更されている)

 

この部分は、聞いたことがある人も多いかと思います。

 

事実だけでもかなりしんどいのですが、劇独自の設定として、健介が他人に頼れない理由が母親にあるところが最高にしんどい。

「他人に迷惑をかけては絶対だめ」
「お金を借りてはいけない」
「お金を借りるくらいなら自分の生活を切り詰めなさい」

 

健介は母親のこの言葉を愚直に守り続け、追い詰められていきます。

必死に働き息子の健介を育てた母親の覚悟。それが呪いのように健介を縛り、誰にも頼ることができなかったのは悲劇でしかない。(実際の事件では、その発言は病死した父のものだったそうです)

 

 

推しは台詞がないシーンでも演技をすることが多く、台詞がない時に客席に見せるリアクションや、くしゃっとした笑顔があたたかくて、母親や劇団の仲間が好きなんだとすごく伝わってくるんですね。

在学中から築き上げてきた劇団の相棒との関係に軋轢が生じるも、「ここだけは変わんないで欲しいなあ」とひとりごちるシーンや、自ら恋人を遠ざけようとする姿は、見ていて非常につらかったです。

 

 

一番つらいのは、終盤の母とのやりとり。

些細なことで「昔に戻ってしまう」認知症の母。

普通に会話ができていたと思いきや、突然「十数年前に戻り」、息子が眠っているから静かにしろと言い出したり、健介が作った食事を自分が作ったと思いこみ勧めてきたり。

おむつに粗相をしてしまい「自分は早く死んだ方がいい」と泣き出す母を叱責する健介の声がきっかけで、目の前にいるのが誰だかわからなくなったり…

 

感情を抑えるように胸元に手を当て、自分が誰かわからなくなった母に「(おむつを替えるから)お風呂場、行きましょうね」と絞り出すようにゆっくりと言う健介。母を見送った後、やりきれずその場にしゃがみ込み嗚咽し椅子を殴りつける姿に、涙が止まらなくなりました。

 

 

 

稽古をせず本番に臨むファーストテイク朗読劇は、通常本番では見られない、役者同士が初めて繋がった瞬間に見られるものを届けられると、キムラ真さんは言っていました。

曰く「お客さんが普段観ているのは、いろいろな過程を経て届けられた牛乳。ファーストテイク朗読劇は搾りたてで雑味もあるけれど、その瞬間しか飲めない『本当』のもの」とのこと*1(6月2日スナックキムラなどでも詳しく語られています)。

推しも「台本をあえて読み込まないようにしていた」と言っていました。

だからこそ、役に入り込み、感情が乗った数々のシーンが非常に生々しい。

大きな手で顔を覆ったり、涙を袖で拭ったり、首まで真っ赤にし、泣きながら掠れた声で「どうして」とつぶやく姿に、何度も苦しくなりました。

 

 

『大丈夫』は大丈夫ではない

劇団ナイスコンプレックスのサイトにこんな文言があります。

作・演出をキムラ真が担当し、社会テーマ・実際にあった事件をモチーフに、「考えてもらう」ではなく「知ってもらう」をコンセプトとする。 

劇場のみで完結するのではなく、観客の脳髄に作品の一瞬を焼き付け残し、フラッシュバックさせる作品創りをしている。

 

今回の朗読劇「ナイスコンプレックス」は、一体何を「知ってもらう」ための話か考えた時、劇中に度々登場する「大丈夫」という台詞が思い出されます。

 

まずは母親が健介の恋人・真紀に伝える「大丈夫」
「あのね、健介が大丈夫って言ってる時は大丈夫じゃない時だから。その時は優しくしてあげてください。内緒ね、あの子怒るから」

 

劇団の後輩、港俊太が弁護士・棟木に伝える「大丈夫」
「誰かが大丈夫って言ってたら、それは多分大丈夫じゃないから。大丈夫ってのは自分に言ってんだよね。まだ頑張れる、まだできるって」

 

 

主人公・健介は周囲のいろんな人から「大丈夫?」と尋ねられるたび、「大丈夫」と答えます。そして一人で認知症の母を抱え込んでしまう。

母親から健介のことを聞かされていた恋人の真紀ですら、その「大丈夫」に健介との壁を感じ、伸ばしていた手を離してしまう。

 

この朗読劇は、事件の悲惨さと、「大丈夫」と強がる人の手を離さない大切さを知ってもらうための作品なのではないかと思いました。

 

 

余談

キャストは全員トップスが白いシャツ、ボトムスを黒に揃えていたのすが、推しはそこにシルバーのネックレスとブレスレットをしていました。それがまた主人公の造形に立体感と奥行きを加えていたように思います。無骨でぶっきらぼうだけど、朴訥としているわけではなく、ちょっと色気がある感じ。あえてアクセサリーを付けていたのかは分かりませんが、個人的には健介の人となりがわかる感じで好みでした。

 

演劇って、普段大人が抑えているいろんな感情を舞台上で見せてくれる側面もあると思ってるんですが、今回の推しの演技は本当に胸にくるものがありました。

やっぱり大きい人がぐしゃぐしゃに泣くのは反則だって!!!こっちも泣いちゃう!!!!

 

 

朗読劇がきっかけで、実際の事件についても調べました。かなり詳細に実際の事件をなぞっている部分と、キムラ真さんの半生を描いているであろう部分をときほぐしていく過程が面白かったです(この言い方はなんだか微妙ですが…)。

 

 

今回のspiさんの朗読劇出演は偶然から生まれたとのこと(詳しくは配信「6月2日スナックキムラ」で)。推しのまた違う一面を観られて良かったです。偶然に感謝!!

ファーストテイク朗読劇という特殊な試みなので難しいかもしれませんが、できるなら円盤化してほしいな

 

 

配信は6月30日まで。一度購入したら期限まで何度でも再生可能なので、もし気になった方は観てみてください。(6月18日現在、配信6本+台本が入手できるお得なコンプリートセットもまだ購入できるようです)

 

 

▼マシュマロ

気軽にどうぞ。だいたいTwitterで答えてます。

回答スタンスは「丁寧なものには丁寧に、無礼なものにはそれ相応に」

 

 

▼spiさん関連

 

▼おすすめ双眼鏡ダイマ記事

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:6月3日マチネカーテンコールより

【6/9追記】AI同士のデスゲーム。主演は一人15役!映画シンギュラ

映画シンギュラ_ヘッダー

 

 

推しの映画主演が決まりました。
前々から「大きな発表がある」と匂わせがあったので、なんとなく映像だろうなと思っていたのですが、予想以上でした。



まず、監督が数々の賞を受賞している堤幸彦監督。
撮影は6日半の短期間で行われ、全編英語で演じたとのこと。
極め付けは、主演のspiさんが一人で15役を演じ分けるという難役に挑んだこと。


 

一人15役ってなんなの、どうやって演じ分けたの!? という疑問に対する答えは、こちらのインタビュー動画で語られています。(以前からしばしば語られる重心についての話が出てきて興味深かった!)
撮影はなんと、真剣乱舞祭2022の合間に行われたそう。過密スケジュール…!

「色分け」「俳優のイメージを借りる」「身体性」というキーワードが出てきましたが、なんとなくの感覚で挑むのではなく、ロジカルに役に挑む姿勢がいいなあ…と思いました。



堤幸彦監督のコメントはこちら

この天啓が推し出演に繋がったのでありがたい…!
そして隠す気がないモザイクがちょっとおもしろい…笑




映画シンギュラには元になった作品があります。2019年2月に公演された舞台「シンギュラ」です。

 

この舞台を堤監督が鑑賞したことがきっかけで、映画シンギュラが実現した、と舞台版の脚本・演出・振付を担当する一ノ瀬京介さんは下記のインタビューで仰っていました。


人間の尊厳をAIが語る…Chat GPTの登場など、急激にAIが注目される昨今、より身近に映画のテーマを感じられそうです。

 

 

クラウドファンディング

映画シンギュラはクラウドファンディングも行っています。

映画シンギュラ_クラファンサイト

堤幸彦監督の新作映画・AI同士のデスゲーム SINGULA|劇場公開プロジェクト|マクアケ - アタラシイものや体験の応援購入サービス

目標の500万円は早々に達成。
5月26日現在、達成率は118%です。

→6/8、目標額を10,000,000円に引き上げられました。
最も安価なもので3,000円なので、応援しやすい価格かと思います。なかには主演のspiさんや堤監督と映画を鑑賞できるコースも!

現在売り切れている、ニコ生での視聴+サイン入り台本のコース(15,000円)の再販は6月9日20時〜。

 

 

一ノ瀬さんの作品について(ややネタバレあり)

一ノ瀬さんの作品は、舞台サマエル(spiさんが主演)と舞台シンギュラの2本を観劇しました。両方に感じたことは、言葉や対話を重要視しているということ十二人の怒れる男からの影響があるのかしら…)

そして内容は所謂「セカイ系」だと感じました。
(「主人公(ぼく)とヒロイン(きみ)を中心とした小さな関係性(「きみとぼく」)の問題が、具体的な中間項を挟むことなく、「世界の危機」「この世の終わり」などといった抽象的な大問題に直結する作品群のこと」
wikipediaより

 

舞台シンギュラの登場人物は(アンドロイドですが)見た目の男女は分かれていました。なのでより「セカイ系」だと感じたのですが、映画だとどうなるんだろう…全員同じビジュアルだし…

 

 

気になるのは舞台版では出てこなかった「デスゲーム」という単語です。
これは公式のクラウドファンディングのページにも出てきます。

15人のAIキャラクターたちは情報学習能力を持ち、感情はない。
AI同士のディベートバトルロイヤルは、規則を守らなければ即シャットダウン。

果たして、どんな展開が幕を開けるのかー。最後に生き残るのは誰なのか。
クラウドファンディングページより

 

ここから考えると、舞台版とはちょっと違うストーリーになりそう。

 

 

ちなみに上記で触れたオーガンズというのは舞台版で出てきたキャラクターの一人です。登場する15人のアンドロイドには人体の部位の名前が付けられていました。

 

  • ハート……心臓 heart
  • リブ………肋骨、あばら骨 rib
  • ブラッド…血液 blood
  • ガラット…食道 gullet
  • センス……感覚 sense 
  • ダイアフラム…横隔膜 diaphragm
  • ヴェイン……静脈 vein
  • キドニー……腎臓 kidney
  • スパイナル…背骨、脊柱 spinal cord
  • コルニア……角膜 cornea
  • ラング………肺 lung
  • ストマク……胃 stomach
  • ペルビス……骨盤 pelvis
  • メドーラ……延髄 medulla oblongata
  • オーガンス……臓器、器官 Organs


人体の部位の名を冠するアンドロイドが人類存続のディベートを行う…って、なんだかわくわくする設定。この辺りが映画にどれだけ踏襲されるのかも気になります。(額のナンバーで識別して、名前は劇中にあまり出てこなさそうな気もする)

 

 

しかし、一人15役って本当にすごい。
どのシーンを見ても推ししか出ないし、笑ったり怒ったりする演技がたっぷり見られるってことじゃないですか…最高か?

 

 

早く続報が出て欲しいです。

 

 

【2023/6/7追記】

2023年6月7日、マスコミ向け完成披露試写会が都内で開催されたそうです。
今年9月に開催される『マドリード国際映画祭』で2つのコンペティション部門(「外国語映画最優秀男優賞」と「最優秀サウンドデザイン賞」)にノミネートされたとのこと。

 

こちらの記事には撮影時のもう少し詳しい話も。

公開が本当に楽しみ!

 

 

【2023/6/9追記】

cinefilでの紹介記事。

 

 

 

▼舞台サマエルの主人公にキレ散らかしてるエントリ▼

 

▼spiさんのファンミの感想▼

 

▼おすすめ双眼鏡など▼

 

 
 
▼マシュマロ▼

気軽にどうぞ。だいたいTwitterで答えてます。

回答スタンスは「丁寧なものには丁寧に、無礼なものにはそれ相応に」

 

 

 

 

 

 

笑いっぱなしの2時間10分〜信長の野暮(2023)〜

アナログスイッチ信長の野暮_舞台セット

 

 

 



信長の野暮は2013年、2018年に上演され、今回が3回目の公演となる舞台です。
本能寺で自刃直前の信長が、冴えない芸人・田中の部屋にタイムスリップ。その他の武将らも魂だけが現代にやってきて…!?というコメディ。


舞台のDVDは購入したら満足してしまい、見返すことがあまりないわたしですが、信長の野暮のDVDはときどき再生しています。重たい話は見る前に少し身構えてしまうけど、コメディだと手が出しやすいので良い。

わたしはspiさんが主演の2018年版を以前観ています。2023年も信長役はspiさんが続投。今回の公演は、2018年の千秋楽後、作・演出の佐藤慎哉さんがspiさんと「また一緒にやりましょう」と約束をして実現したそうです(詳しくはパンフレットに書かれています)


好きな作品の再再演なのでうれしい〜!しかも場所が吉祥寺という自分の好きな街での上演。肩の力を抜いて楽しむことができました。
自分にしてはめずらしく他担の友達を誘って観に行った舞台なので、街の風景と共に、より心に残りました。


 



あらすじ

明智光秀によって本能寺に追い詰められた織田信長
「これが最期」と覚悟を決めて目を閉じる。
が、ふと気がつくと冴えないワンルームでひとり
ゲームに明け暮れる田中の隣にタイムスリップしていた…!

偶然にも現代へと時空を超越してしまった戦国武将と、
彼らと共に生活することになった住人たち。
合わないのは時代のせい?個性のせい?
数多の混乱を面白おかしく描く、
空前絶後のシュチュエーションコメディ!

2013年、2018年と上演され好評を博し、
2023年5月アナログスイッチオリジナル企画として
バージョンアップして帰ってきます!



▼イケメン図鑑のゲネプロ画像付きのあらすじ

ikemen-zukan.com




感想

すごくおもしろかったー!
再演ってストーリーが同じだから、予定調和かもなーとちょっぴり思ってたんだけど(すみません)、新キャラがいたり伏線の張り方が丁寧になっていたりですごく楽しめました。「あれ、これさっき聞いたな!?」というワードが後で回収されていく小気味良さよ。

何がおもしろいかって、とにかくテンポがいいんですよね。セリフの掛け合いが耳に心地よい。
突如として明智光秀の魂が宿った太田と、その彼女のアンジャッシュ状態で進む会話も秀逸。
特に好きなのは森兄弟の「御意」「プレイとは」の唱和、何回見てもおもしろくて笑っちゃう。
最後のドタバタの勢いも好き。


たっぷり笑って最後少しだけほろりとさせるストーリーで、終演後はちょっと心が明るくなる舞台でした。元気になれる〜!暗いニュースも多い昨今だから、こういう思い切り笑える舞台っていいなと改めて思う。

何度か観劇するうちにそれぞれの役に感情移入して、自分の友達みたいな気分になりました。なのでそれぞれの感想を(あえて役名で)


田中

今回は俳優じゃなくて芸人の田中。ゲームしながら「光秀だと!?是非もなし」と口パクでニヤニヤするところが微笑ましくて、見てるこっちも笑ってしまう。掃除機をのぶちんにぶつけるところのやりとりも好き。
お笑いのコンビだとやっぱりツッコミなのかな。「お前がそれ言うのおかしいだろ」「お前の家臣それで死んでるぞ」とか、いろんなところで突っ込んでるしな。 


明智光秀・太田裕也

公演を重ねるにつれ、浮気がバレたときの演技が大きくなっていっておもしろかったー!ラストのドタバタのシーンでくるっと回転するところが好き。太田裕也の時は割とふにゃっとした今時の若者って感じで、光秀との違いも楽しかったです。


山口天衣(あい)

かわいい。クール系と思いきや突如信長の真似をし始めたり、駄洒落を言ったりするギャップが好き。特に好きなのは「でも私、細い方が好きやで」のセリフ。会社の後輩(クールビューティー)にため口でこんなこと言われたら、55歳のおじさんじゃなくてもドキッとしちゃう。好きです。


長谷川晴海

「ちょっとズレたところがある痛い子」感があって、隣の部屋を覗くというおかしな行動がしっくりくるのがすごい。浮気されちゃうのは多分感情の起伏が激しいからだな…!? ライトが当たってない時の演技(田中に肩を叩かれてビクッとするところ)も細やかで好きです。


橋本勇次

存在がおもしろいってすごい。「おうみ…?近江…滋賀の!」「天衣がぁ、芸人の俺の方がぁ、好きって言ったからー」とか、声の出し方で笑ってしまう。天衣ちゃんに追い出される時にシャイニングみたいになってるところとか、「あぁっ、靴…」って情けない声を出すところも好き。iPod shuffleをプレゼントされてるということは、天衣ちゃんとは結構長い付き合いだったのだろうか…


武田さやか・赤影馬の芯

「こんないい人いる!?何も誇るものがないのに堂々とできる人!」はずるい。馬の芯は真面目で仕事ができる子なんだろうなと感じる、結構すぐに現代に適応してるし。徹を思い切り振り払うところが好き。多分ウォシュレットの水圧は最強にしてある。


武田信介

徹との絡みがおもしろくて好きー!椅子を下げるタイミングが毎回絶妙。こんな抑圧された環境で捻くれずに育っててえらいね…。今回の再再演だとタイムマシンを作った経緯も明らかになってすっきり。


藤沢徹

存在がおもしろいってすごい(二回目)。その場にいるだけで「何か面白いことをしてくれそう」という期待感がある。余談ですが、さやかとの「持ってる」の仕草は、2018年から仲間内で流行って会話内でしばしば登場します。汎用性が高い。


森兄弟

いやーーーー、かわいい。三人の息がぴったりで、見ててにこにこしちゃう。力丸、ハートの便箋の折り方どこで覚えたのまじで。懐かしくてめちゃくちゃ笑ってしまった、高校生じゃん!!蘭丸と力丸の「ねーー!」にキレる坊丸が苦労人という感じで味わい深い。


武田夫妻

「娘さんと結婚…」「だめだ」の切れ味の良さよ。徹のパチプロ発言に二人で顔を見合わせるところの表情と間が絶妙で毎回笑ってた。好き。
この話って、お父さんが高圧的で唯一嫌なキャラとして出てくるんだけど、ラストのタイムスリップの可愛らしさと元に戻ってからの様子でその印象が変わるのが良かった…。そのおかげで読後感(?)がすっきりしてる。


織田信長

初めの堂々とした武士としての信長、語尾に「ござる」が出たりして現代になかなか適応できない信長、野望を見失い堕落した信長。同じ人物なのに雰囲気が違う姿が見られるので一粒で3回おいしい

武士としての信長の好きなところは、タイムスリップしてすぐの部屋の中で(この面妖なものはなんだ…?)というように短刀の柄で扇風機をちょんとつつくところ。戦国時代で一番有名でしょと言われて照れるところ。「ニッ…ポン」の発音。ニヤリと笑って「チャリで行くぞ」と両手を広げるところ。照明が当たってないシーンでシルエットで見えた横顔のラインの美しさ。

なかなか適応できない信長で好きなところは、田中と言い争いしてる時にしてる背伸び。森兄弟が田中に畏れながら申し上げます!してる時の「そうだそうだ!」と言わんばかりの変顔。バイト合格のメチャクチャな喜びのダンス。


堕落した信長で好きなところは…あるかな…。感じが悪いからなー!
自堕落に過ごす信長の演技を見るたびに心がひゅっとしてしまう。躊躇いなく相手に苛立ちをぶつける演技がうますぎる…嘘くささがなくて生々しいから怖いんだよね。
序盤の姿との落差が激しい堕落した信長は、史実の冷徹な姿から来ているのかなー。
わたしはspiさんのクズの演技が(怖いけど)好きなので、毎回感じ悪い!!と思いながら観てました。彼が演じるクズ要素がある役って、本気で憎めるからすごいなと思う。


というかspiさんてクズの役が多いな。ニックは浮気してるのになぜか被害者ヅラしてるクズだし、オキソは自意識を拗らせためんどくさいクズだし、デイビーは差別主義者だし、ビル・サイクスとカーティスも世間から見たら多分クズだし…(だがビルとカーティスはある意味真っ直ぐなので、わたしの中ではあんまり憎むべきクズではない)


spiさんて闇属性の役を演じることが多いんだけど、光属性の役も見たいなー、止まれない12人の朝倉くんとか、H12の哲人くんみたいな、ふにゃっとした光属性の役…。Tシャツのサイズが3Lだからそういう役が来ないのか!?

 


閑話休題

信長のワードローブは徐々に増えていくんだけど、これは田中が買い与えたものなのかしら。途中からジャケット着たりしてるし、靴は多分サイズが田中とは違うし。
いきなり現れた様子がおかしいおっさんに服を買うあるいは貸与する田中っていい奴だな…。
余談ですが、現代に適応した信長が着るハーフパンツに点々と汚れがついてるのが、「わ、わかるーー!」と思ってしまった。くたびれ加減がリアルだった。衣装さん天才だな…。



舞台美術など

前回もおしゃれだったけど、今回はよりブラッシュアップされてるなーと感じました。
田中と太田の部屋の雰囲気の違いが出てるので見てて楽しい。田中の部屋は水道修理のマグネットが玄関にたくさん貼り付けられてたり、捨ててないゴミ袋や傘があって雑然としてる。

信長の野暮_雑然とした田中の部屋

雑然とした田中の部屋。ジャンプの表紙にアナログスイッチが!芸が細かい!


太田はカメラ好きのサブカル男子という感じ。ダーツや間接照明、空気清浄機、見せる収納の靴、観葉植物とか。くまのぬいぐるみは女絡みの持ち物っぽくて、部屋を見るだけでどんな人物が住んでるか想像できるのがすごい。

信長の野暮_太田のサブカルおしゃれ部屋

サブカルおしゃれボーイ太田の部屋


屋根にはネズミの家族やネコチャンがいたり、中央の瓦の中にASの文字があったり、謎に「ユカリ」さんを推してたり(信介の部屋と太田の部屋の本棚) して、見ていて楽しかったです。

信長の野暮_謎の文字

ユカリ、紫、ゆかり

信長の野暮_謎の文字

ここにもユカリの文字が…!

 

グッズもおしゃれ

信長の野暮_グッズ

グッズの一部。デザインが秀逸!

あと、特筆すべきはグッズのデザインがめちゃくちゃおしゃれなところ!パンフやDMの蛍光インクが映えてる。アクスタあるのもうれしいー!オタクはアクスタ大好きだもんね。

 

これは早速アクスタで遊んだ図

大歓楽街・吉祥寺を満喫できました。他にも寿司食べたり焼き鳥食べたりした。

 

 




何も考えずに笑って観られる楽しい舞台「信長の野暮」、

東京公演は終わりましたが、5/26〜5/28まで大阪公演もあります。チケット代は驚きの5,000円!

配信も6月3日16時まで何度でも観られて4,500円と福利厚生が行き届いてます。おすすめ!


 
 
楽しかったので1年ぶりにブログ書いた。
今気づいたけどタイトルがイケメン図鑑と被ってるな…初出はわたしの方が先なので目をつぶってほしい。
ミュージカル「手紙」の時みたいにまとめ記事もUPしてます。

 

こっちはtogetterまとめ。

主にアナログスイッチとキャストのツイートをまとめてます。まだ色々抜け漏れがあるのでどうにかしたい。
 
 
 
 
それではみなさま、良き推し事ライフを!
 
 
 
 
 
 
▼spiさん▼

 

 
 

▼おすすめ双眼鏡など▼

 

 
 
▼マシュマロ▼

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回答スタンスは「丁寧なものには丁寧に、無礼なものにはそれ相応に」

 

 
 

【まとめ】信長の野暮(2023)情報

 

信長の野暮_グッズ

 

 

アナログスイッチ信長の野暮、情報まとめです。
後から多分ちょこちょこ修正します。



公式サイト

 

 

【あらすじ】
明智光秀によって本能寺に追い詰められた織田信長
「これが最期」と覚悟を決めて目を閉じる。
が、ふと気がつくと冴えないワンルームでひとり
ゲームに明け暮れる田中の隣にタイムスリップしていた…!

偶然にも現代へと時空を超越してしまった戦国武将と、
彼らと共に生活することになった住人たち。
合わないのは時代のせい?個性のせい?
数多の混乱を面白おかしく描く、
空前絶後のシュチュエーションコメディ!

2013年、2018年と上演され好評を博し、
2023年5月アナログスイッチオリジナル企画として
バージョンアップして帰ってきます!



【日程】東京・2023年 5/11(木)~5/21(日) 大阪・2023年 5/26(金)〜5/28(日)
【会場】東京・吉祥寺シアター 大阪・ABCホール
【料金】5000円(全席指定/未就学児童入場不可)
受付開始は開演の60分前、開場は30分前。
上演時間は2時間10分予定(途中休憩なし)
※5/18(木) 14:30は観劇環境実験のための公演



【作・演出】佐藤慎哉 (twitter)
【舞台美術】平山正太郎(センターラインアソシエイツ)(Twitter)
【舞台監督】佐藤豪
【演出部】三津田なつみ
【照明】齋藤拓人(Twitter)
【音楽】福永健人(airezias)(Twitter)
【音響効果】天野高志(RESON)(Twitter)
【音響操作】日本有香(Suger Sound)
【大道具】東宝舞台
【スタイリスト】田中あゆみ
【ヘアメイク】成谷充未(Twitter)
【和物衣装】加藤佑里恵(藤衣装)
【宣伝美術・web】デザイン太陽と雲(Twitter)
【宣伝撮影】山岸和人(Twitter
【webコーディング】阿波屋鮎美(ブラン・ニュー・トーン)(Twitter)

【プロデュース・制作】中村加奈(Twitter)
【制作助手】阿南美咲(Twitter)
【広報】丸山香織(アナログスイッチ)(twitter)
【票券・デスク】よしよしこ(アナログスイッチ)(twitter)
【票券】園田祥子(arts knot)
【当日運営】吉乃ルナ(Twitter)

【企画・制作】アナログスイッチ(Twitter)

 


【出演】
spi (Twitter)
奥谷知弘(Twitter)
井尻晏菜(Twitter)
澤邊寧央(Twitter)
渡辺伸一朗(アナログスイッチ)(Twitter)
大迫綾乃(アナログスイッチ)(Twitter)
秋本雄基(アナログスイッチ)(Twitter)
雨宮沙月(アナログスイッチ)(Twitter)
忠津勇樹(アナログスイッチ)(Twitter)
藤木陽一(アナログスイッチ)(Twitter)
佐藤新太(Twitter)
吉田紗也美(Twitter)
久保貫太郎(クロムモリブデン(Twitter)
井内ミワク(はえぎわ)


【グッズ】

 

 

公演パンフレット
アクリルスタンド
オリジナルTシャツ
キャストブロマイド
公演DVD・ブルーレイ(予約)
上演台本

サウンドトラック
舞台写真集
公演ポスター

suzuriグッズ

アクリルキーホルダー
マグカップ
サコッシュ
Tシャツ

 

 
 
【公式サポータークラブ】

 

 


【コメント】

 

 


 

【スペース・インスタライブ】

 

 

 

 

【インタビューなど】


spice.eplus.jp



 
【ツイート(spiさん関連)】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

【まとめ】ミュージカル『手紙』2022 各媒体記事など

ミュージカル手紙2022_情報まとめ


自分用のまとめ記事です。

 

 

【公式サイト】

 

 

【公式Twitter

ミュージカル「手紙」2022 (@tegami2022) | Twitter

 

 

あらすじ

弟の進学費用のために空き巣に入り、強盗殺人を犯してしまった兄・武島剛志。高校生の弟・直貴は唯一の肉親である兄が刑務所に15年間服役することになり、突然孤独になってしまう。兄が殺人を犯した事実はすぐに広まり、加害者家族となった直樹に向けられる周囲の目は一変した。高校卒業を控えたある日、直貴の元に服役中の兄から1通の手紙が届いた。それから月に一度、欠かさず手紙が届くようになる。兄からの手紙には獄中での穏やかな生活が書かれている一方、直貴は「強盗殺人犯の弟」という肩書により、バンド・恋愛・就職と次々に夢を奪われ苦しみ続けていた。年月が経ち家族を持った直貴は、ある出来事をきっかけに、ついに大きな決断をするのだった。

 

 

【日程】2022年 3/12(土)~3/27(日) 
※3/14 13時は貸切公演(中学生が観劇)

【会場】東京・東京建物 Brillia HALL
【料金】S席11,500円、A席9,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)

ミュージカル手紙2022_公演日

こちらのサイトから引用

 

 

【原作】東野圭吾『手紙』(文春文庫刊)
【脚本・作詞】高橋知伽江 Twitter
【作曲・音楽監督・作詞】深沢桂子 Twitter

【演出】藤田俊太郎 Twitter

【振付】新開絵理子
【美術】原田愛
【照明】日下靖順
【音響】山本浩一
【衣裳】小林巨和
【ヘアメイク】井上京子
音楽監督補・編曲】村井一帆
【歌唱指導】深沢桂子
【演出助手】守屋由貴
【舞台監督】倉科史典
【技術監督】小林清隆
【写真撮影】遠藤祐輔
【宣伝美術】相島大地
【制作】松栄清
【制作助手】井坂茜
【プロデューサー】近藤富英、山田健太
【企画協力】文藝春秋
【主催・企画・製作】サンライズプロモーション東京/MY Promotion/スペースポンド


【出演】
村井良大 Twitterinstagram
spi Twitterinstagram
三浦透子 Twitterinstagram
中村嶺亜(7 MEN 侍/ジャニーズJr.)
佐々木大光(7 MEN 侍/ジャニーズJr.)
今野大輝(7 MEN 侍/ジャニーズJr.)
青野紗穂 Twitterinstagram
染谷洸太 Twitterinstagram
遠藤瑠美子 Twitterinstagram
五十嵐可絵 Twitterinstagram
川口竜也 Twitterinstagram

幼少期の直貴(声のみ):奥田奏太
幼少期の剛志(声のみ):渡邊隼人


【ミュージシャン】
村井一帆(pf) Twitter
えがわとぶを(Bass)
萱谷亮一(Perc
中村康彦(Gtr)
古池孝浩(Gtr)
土屋玲子(Vln)
日俣綾子(Vln) Twitter
三葛牧子(Vln)

 

 

【グッズ】



グッズはパンフレット、トートバッグ(ブルー/ブラック)

 

 

チケットぴあ・動画(0:47)

 

イープラス・動画(0:41)

 

ローソンチケット・動画(0:42)

 

公式youtubeチャンネル
村井良大(2:45)


spi(0:41)


中村嶺亜(0:32)

 

 

佐々木大光(0:24)


今野大輝(0:26)


 

 

▼インタビュー
村井良大、spi(取材・文・撮影:平野祥恵)
https://www.cnplayguide.com/epos/tegami2022/

 

エンタステージ

 

アステージ


スマートボーイ

 

 

シアターテイメントNEWS

取材:高浩美 構成協力:佐藤たかし

 

 

▼ニュース

藤田俊太郎演出のミュージカル「手紙」2022年版、出演に村井良大・spi・三浦透子ら(コメントあり) - ステージナタリー

 

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 東野圭吾×藤田俊太郎×村井良大『ミュージカル「手紙」2022』 が開幕。コメントと舞台写真到着! | えんぶの情報サイト 演劇キック

 

『ミュージカル「手紙」2022』開幕 | コンフェティ

 

 

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千秋楽 3月27日