Take Me Out 2018、初見感想
ネタバレかもしれないところは反転してますが、気になる方は自衛してください。
Take Me Out 2018、初見感想。Twitterからざっくりまとめ。
登場人物のそれぞれが、自分が良いと思った選択を取る。
保たれていた均衡が破れ「楽園」は失われる。
皆が当たり前のように心に抱える歪み、それがあぶり出されるような話だと感じた。
楽園がなくても私たちは進むしかない。
あやういバランスの上に成り立っていたかりそめの楽園を失い、ラスト、ダレンは歩き出したんだと思う。
人は意図せず他者を傷つける。
例えばジェイソンが話しかけるのは、彼的にはあのタイミングでしかあり得なかった。
あやういバランスの上に成り立っていたかりそめの楽園を失い、ラスト、ダレンは歩き出したんだと思う。
人は意図せず他者を傷つける。
例えばジェイソンが話しかけるのは、彼的にはあのタイミングでしかあり得なかった。
だけどダレンの「なぜ今なんだ」という言葉どおり、それは心の底にある差別心が滲み出たような場面だと思う。
ダレンがカミングアウトしたその日に話しかける意味。
チームに移籍して3週間。雲の上の存在のダレンに「話しかけるから今だと思って」「自分は問題ないと思う」と言う理由。
きっと私たちは無意識のうちに、誰かを損ね、傷つけている。
ダレンは頭が良くてメンタルのトレーニングもしっかり行ってるんだろう。だからこそ他人の弱いところを突くことも可能なんだろうと思った。会話の中で他者をコントロールしてイニシアチブを握ることも。
それはもしかして人種による負い目から形成された性質なのか?
他者のコントロールだったり、会話のイニシアチブを積極的に握ろうとするのって、相手を対等に扱おうとしてるなら必要ない。それってこちらが優位に立つための行為だから。そういえばダレンは他者と自分を全く対等に扱っていない。
優位に立とうとする人間は、心の底では自信がないことも多い。
ダレンの自信に満ちたあの言動は、弱さの裏返し、虚勢を張っての部分もあるのかもなと思った。(事実、「楽園」を失い彼は傷ついたし、「シーズンの前と後では全然違う、シーズン前は自信があった」と語っている)
彼の弱さがわからないからトッディは苛立っていたんだろう。
彼の弱さがわかるから、キッピーはダレンと友人だったんだろう。
そしてわかるからこそ、キッピーはシェーンにああいう接し方をしたのかもしれない。
他者を理解できるというのは恐ろしく傲慢な考えだ。
ダレンがカミングアウトしたその日に話しかける意味。
チームに移籍して3週間。雲の上の存在のダレンに「話しかけるから今だと思って」「自分は問題ないと思う」と言う理由。
きっと私たちは無意識のうちに、誰かを損ね、傷つけている。
ダレンは頭が良くてメンタルのトレーニングもしっかり行ってるんだろう。だからこそ他人の弱いところを突くことも可能なんだろうと思った。会話の中で他者をコントロールしてイニシアチブを握ることも。
それはもしかして人種による負い目から形成された性質なのか?
他者のコントロールだったり、会話のイニシアチブを積極的に握ろうとするのって、相手を対等に扱おうとしてるなら必要ない。それってこちらが優位に立つための行為だから。そういえばダレンは他者と自分を全く対等に扱っていない。
優位に立とうとする人間は、心の底では自信がないことも多い。
ダレンの自信に満ちたあの言動は、弱さの裏返し、虚勢を張っての部分もあるのかもなと思った。(事実、「楽園」を失い彼は傷ついたし、「シーズンの前と後では全然違う、シーズン前は自信があった」と語っている)
彼の弱さがわからないからトッディは苛立っていたんだろう。
彼の弱さがわかるから、キッピーはダレンと友人だったんだろう。
そしてわかるからこそ、キッピーはシェーンにああいう接し方をしたのかもしれない。
他者を理解できるというのは恐ろしく傲慢な考えだ。
私たちは他人のことなど本当には理解できない。
だからこそ慎重に手を伸ばし、相手に寄り添うしかできない。
そこを見誤り、自分には他者が理解できると思い込めば、事態はおかしな方向に転がり始める。
わたしは2016年版take me outを知らない。
だから、過去のキッピー*1も知らない。だけど味方さんの喋り方に木村伝兵衛ぽさを感じたので、熱海殺人事件を観ていてよかった…。
自信に満ちて聡明で、少し傲慢さがにじむ感じだった。ずるさも。
初見と2度目以降だと見方が変わる役だろうなあ…次観るのが楽しみ…
シェーンを演じる栗原さんの演技がすごく生っぽくて、心がザラッとする。
なんだかすごく「リアルにそこにいる」ような佇まいだった。演技を超えて、生々しく迫ってくるような、アンバランスな存在感。
シェーンの歩んできた道のりを思うと胸が詰まる。シェーンの行動を見た側の気持ちも、シェーンの立場の気持ちもわかる気がする。ある種、ものすごく無垢で剥き出しの役だと思った。
最後に少し語られたシェーンについて。牛乳瓶を一つ残らず銃で砕いたシェーン。その銃口が人間に向けられなかったことが、なんだか逆に、胸を締め付けられるような気持ちになった。
spiさん演じるデイビーの、冷たい手で心臓を掴まれるような声が耳に残って離れない。
外側はかたいけど、やわらかくてちょっと抜け感があるような声で、喋り方はカチッとしてる。抑揚のつけ方がオーバー気味で、吹き替えぽいというか。規範と戒律を守る、有能な男という感じだった…
役が変わるたびに全然違う面を見せてくれるから、もっと見たいなと思う。
止まれない12人の朝倉くんやH12の哲人くんみたいな柔和な面があるかと思いきや、デイビーみたいな四角くてかたい面を出してきて、びっくりするんだよ、spiさんの演技を見てると。
パンフレットにもあったけれど、spiさんは聖と俗、透明と濁りというような両極端な面を併せ持っていると思う。今まで磨いてきた技術で、役にあわせてそれを取り出したり組み上げたりして、わかるように観客に見せてくれる役者さんだなと思う。魅力的で、とても好きだ。
クリスチャンであり*2、日本人とアメリカ人のハーフであり、所属グループでLGBTの啓蒙活動のイベントにも参加したことがある彼は、どんな気持ちでデイビーという役に触れ、どうやってデイビーという男を演じたのだろう。
なんにせよ、親友のはずのダレンを拒否し、罵り、少しも自分の考えを変えようとしない頑なで冷たい声がこわくて仕方がなかった。
そこを見誤り、自分には他者が理解できると思い込めば、事態はおかしな方向に転がり始める。
わたしは2016年版take me outを知らない。
だから、過去のキッピー*1も知らない。だけど味方さんの喋り方に木村伝兵衛ぽさを感じたので、熱海殺人事件を観ていてよかった…。
自信に満ちて聡明で、少し傲慢さがにじむ感じだった。ずるさも。
初見と2度目以降だと見方が変わる役だろうなあ…次観るのが楽しみ…
シェーンを演じる栗原さんの演技がすごく生っぽくて、心がザラッとする。
なんだかすごく「リアルにそこにいる」ような佇まいだった。演技を超えて、生々しく迫ってくるような、アンバランスな存在感。
シェーンの歩んできた道のりを思うと胸が詰まる。シェーンの行動を見た側の気持ちも、シェーンの立場の気持ちもわかる気がする。ある種、ものすごく無垢で剥き出しの役だと思った。
最後に少し語られたシェーンについて。牛乳瓶を一つ残らず銃で砕いたシェーン。その銃口が人間に向けられなかったことが、なんだか逆に、胸を締め付けられるような気持ちになった。
spiさん演じるデイビーの、冷たい手で心臓を掴まれるような声が耳に残って離れない。
外側はかたいけど、やわらかくてちょっと抜け感があるような声で、喋り方はカチッとしてる。抑揚のつけ方がオーバー気味で、吹き替えぽいというか。規範と戒律を守る、有能な男という感じだった…
役が変わるたびに全然違う面を見せてくれるから、もっと見たいなと思う。
止まれない12人の朝倉くんやH12の哲人くんみたいな柔和な面があるかと思いきや、デイビーみたいな四角くてかたい面を出してきて、びっくりするんだよ、spiさんの演技を見てると。
パンフレットにもあったけれど、spiさんは聖と俗、透明と濁りというような両極端な面を併せ持っていると思う。今まで磨いてきた技術で、役にあわせてそれを取り出したり組み上げたりして、わかるように観客に見せてくれる役者さんだなと思う。魅力的で、とても好きだ。
クリスチャンであり*2、日本人とアメリカ人のハーフであり、所属グループでLGBTの啓蒙活動のイベントにも参加したことがある彼は、どんな気持ちでデイビーという役に触れ、どうやってデイビーという男を演じたのだろう。
なんにせよ、親友のはずのダレンを拒否し、罵り、少しも自分の考えを変えようとしない頑なで冷たい声がこわくて仕方がなかった。
こわくて、すごく魅力的だった。
またこの舞台が観られるのがうれしい。
はやく観たい。まだ「これはどういうことだ?」っていうシーンも多いので。
とりあえず、今感じたことを覚書として書いておく。
あーーー、はやく観たいなあ。
そういやTMO観る方は、田亀さんのこのインタビューを読むと何か思うところがあって良いかもしれない。
「ゲイフレンドリーなのに、根っこのところで偏見があるのに気づいていない人です。なんとなく拒否感を抱いている人にはしょっちゅうお目にかかる」
「「あからさまな差別には闘えばいいだけ」という田亀さんが、厄介だと感じているのは、本人も気づいていない偏見だ。」
わたしはジェイソンにこれを感じた。
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ポエムだぞ!!!気をつけな!!!!